意識のアップロードとは、人間の意識を機械に移植し、機械の中で生き続けることを言います。渡辺正峰氏の著書[1, 2]や学術論文[3,4]では、意識に関する以下の仮説をあげた上で、検証方法、そしてアップロードの方法についてまとめ、20年後の実現を視野に入れています。
意識のアップロードを実現することの最大の利点は、不老不死を望む人や、何らかの原因により生きたくても生きられなかった人に、自分が望むまでの間生き続けられるという、究極の選択肢が開かれることであり、人類の生き方が根本から変わる可能性を秘めています。
実現に向けた第一歩目として、当社では「生成モデル」を実装した次世代型AIの開発、および社会実装を推進いたします。
第一歩目としての「生成モデル」を実装した次世代型AIの開発を行い、それを人間の脳と接続するためにスパイキングネットワーク化していきます。スパイキングネットワークとは、ニューロンの発火率を模した連続値出力ではなく、実際の脳と同じように、ニューロンの活動電位のタイミングでゼロ・イチの情報伝送をする仕組みで、機械と脳の接続には必須と考えています。その後、それを実装した機械と生体脳を繋いで、実際に意識が感じられるかどうかの検証を行います。意識は個々人の主観的な感覚であり、機械に宿ったかどうかは自身の主観を持って確認するしかない、との立場に立っています。本検証が成功した時点で、当該機械にはニュートラルな意識が宿ったことになり、さらには記憶の転送を行うことで、意識のアップロードは完了します。
参考文献
[1] 渡辺正峰(2017) 「脳の意識 機械の意識」中央公論新社
[2]渡辺正峰(2010) 「意識」『イラストレクチャー 認知神経科学―心理学と脳科学が解くこころの仕組み』村上郁也編、オーム社
[3] Watanabe, M., Cheng, K., Murayama, Y., Ueno, K., Asamizuya, T., Tanaka, K., & Logothetis, N. (2011). Attention but not awareness modulates the BOLD signal in the human V1 during binocular suppression. Science, 334 (6057), 829-831.
[4] Tajima, S. and M. Watanabe. “Acquisition of nonlinear forward optics in generative models: two-stage ‘downside-up’ learning for occluded vision.” Neural Networks 24(2) (2011): 148-158.